テナントリテンションの発想を!~長く住んでもらうための工夫 「変化に対応できる賃貸~単身者&二人暮らし」~後篇
ライティングレールや可動棚などで見せられるポイントを作る
前回はライフスタイルの変化に対応できる部屋作りのアイディアとして、可変性のある間仕切りのご紹介でした。
賃貸では広さに余裕がない場合が多く、効率性や機能性ばかりを考えがちですが、それでは楽しい生活とは言えません。若いシングルやDINKSがターゲットなら趣味や遊び心はお部屋の中でも大切にしたいもの。
しまうスペースと見せるスペースは、バランス良く必要です。そこで活躍するのが、可動するライティングレールや収納棚です。
ライティングレールは、天井材と色合わせをしておけば目立つものではないので、広範囲に設置したいもの。
ライティング以外にも例えばエアプランツをハンギングしてグリーンを楽しんだり、モビールを吊るしてみたり、オシャレというだけでなく家具のレイアウト変更にも対応しやすいので、使う方にとっては自分次第の使い方が楽しめる嬉しいアイテム。
内覧時には、このようなハンギング例を演出するとイメージがしやすいのでなお良いですね。同じく可動棚も見せたいもの見せたくないものを仕分けられとても便利。
このような自由度の高いアイテムを増やして、飽きのこない空間を提供していきましょう。
高齢単身者へのライフスタイルに対応できる工夫
高齢者にとって必要不可欠なのは転倒しない工夫。
高齢単身者をターゲットにするなら玄関や浴室、トイレなどに手すりをつけましょう。かなりの荷重をかける場合もあるので簡易的なものではかえって危険です。後々のことを考え、予め可能性のありそうな壁には補強を入れておくことをおすすめします。その際、玄関やトイレは座った姿勢から届くよう高さ650mm程度から上に500mm以上、また浴室はL字型にあると安心です。
今はトイレットペーパーホルダーと仕上げ材を合わせるなど、公共トイレにあるようなものではなくデザイン性の高いものも豊富ですので、高齢者に限らず付けておくと差別化にもつながり損はないと思います。
また、お部屋の中でも大きな動作は苦手になってきますので、前後に動く開き戸はなるべく控え、引き戸を多用しましょう。少しの扉の重さなども体の負担になる場合もあるので、素材選びや機能性にも配慮することが必要。さらに、素材はお掃除のしやすいものなど、メンテナンスの楽なものを選んで高齢者への負担を軽くすることを心がけてくださいね。
大貫 雅子
インテリアコーディネーター
アロマコーディネーター
ゼネコン・家具ショップ・カーインテリアデザイン事務所を経て、現在はフリーランスのインテリアコーディネーターとして活躍。個人邸や共同住宅のリノベーション、サインデザインなどグラフィックデザインを含めたトータルコーディネートを行っています。