IC21のブログ

2020/01/10

空室理由から考える!~デメリットを魅力に変えるポイント  「キッチンが幅1500mm未満の狭い部屋」~後篇

キッチンそのものでなくイメージを変える

前編ではデザイン性やシンプルさなどによって狭いキッチンの印象を良くするお話でした。

オーソドックスで無難なキッチンが設置されていることが多い賃貸物件ですが、こだわりたい人にとっては魅力も半減。コストをあまりかけず印象を変える方法としてキッチンそのものを変えるのではなく①扉の取っ手を交換する、②キッチン前とコンロ側の壁をデザイン性のあるタイル貼りにする、③キッチンパネルでアクセントを付ける(写真②)、④扉にシートを貼るなどが挙げられます。

黒のキッチンパネルでモダンな雰囲気に

写真②:黒のキッチンパネルでモダンな雰囲気に

 

この時キッチンだけでなく物件全体のテイストや色味を合わせることで、「おしゃれな部屋」「かっこいい部屋」というイメージを抱かせ入居者の心をくすぐります。(写真③) 小さなキッチン、狭い部屋であってもここに住みたいと思わせるほんのひと工夫が大切です。小さなキッチン×小さなお部屋ならではのトータルコーディネートでオーナーのこだわりを内覧者に伝えることができるのではないでしょうか。

 

テイストと色味を合わせてぐっとお洒落な空間に

写真③:テイストと色味を合わせてぐっとお洒落な空間に

 

料理好き&ファミリーには「これなら料理が出来る」と思わせる工夫を
狭いキッチンの使いにくさや不満は大きく分けて3つあります。①調理スペースが狭いこと、②コンロが一口、③調理器具や食器・道具類が収納しにくいことです。

使いやすいキッチンにするには効率よく作業ができる、モノが適所に収納できる、清掃性に優れていることが大事です。これらを踏まえて省スペースキッチンにできる工夫を挙げてみます。

一口コンロは幅の狭いキッチンでは仕方ないとし他でカバー。キッチン本体で調理スペースが取れないなら作業スペースを補うカウンターを設置するのも一つです。メーカー品でなくて造作のものでいいでしょう。

また、収納についての不満を解消するためには縦の空間に着目。吊り戸棚はなるべく目線に近い位置に設置して普段使いの食器や調味料などを置けるようにする、または水切り棚を追加して洗い物や下ごしらえをした食材の仮置きをするなど有効利用すると、調理スペースがモノでいっぱいの状態にならず狭いキッチンでも料理は楽しめます。正面に壁があるのならマグネットが付けられるキッチンパネルにすることでフックや小さな棚などを簡単に付けられます。これらはモノの指定席を決める上でも有効な方法ですね。(写真④)

 

タオル掛けとS字フックで空間の有効利用

写真④:タオル掛けとS字フックで空間の有効利用

 

いたるところに工夫がみられるキッチンなら狭くても「これなら料理が出来るかも」と、料理好きの人もこれから料理を始めようとする人にもアピールすることが出来ます。
キッチンは大切な空間。「キッチンが狭いから選ばれない物件」ではなく、使い心地や見た目を意識した「狭いながらも魅力的なキッチンがある物件」をアピールして入居率アップを図ってみてはいかがでしょうか。

 

 

プロフィール:著者 IC21 稲村 信子

インテリアコーディネーター/キッチンスペシャリスト/二級建築士

設計事務所勤務、住設建材メーカーでのキッチンプランナー、インテリアコンザルタントを経てフリーとなる。現在インテリア関連の講師の他、個人邸のリフォームや整理収納、トータルコーディネートを手掛けるなど多岐にわたり活動中。