読めばわかる!デザインリフォームの見せテクとプロの常識「玄関・廊下」 2
今回は前回に続き、お部屋全体の印象を決める、玄関・廊下のお話です。
4.テーマを設けてドラマチックに演出
玄関のドアを開けてすぐキッチン。そんな間取りの物件も多いと思います。できればそうでないのが良いのですが、そうなっている場合には、キッチンを色で魅力的に見せてみてはどうでしょうか?人は最初の数秒で印象をキャッチするといわれていますので、これは効果的です。ご紹介する事例は、カップケーキをイメージしたインテリアに仕上げた物件です。20代~30代の女性をターゲットに、ピンクをベースに可愛いらしい印象にしています。キッチン扉・収納扉と壁紙をピンクと茶の2色で貼り分け、コンセプトをキッチンでも表現しています。また、玄関入ってすぐ目につく梁には、アクセントとして茶色の壁紙を貼り、ワンポイントに若い女子に人気のキラキラ光るモザイクタイルシールを貼りました。光のゆらめきが魅力的に感じられます。色と素材感で、古い物件でもリフォームにより、美しく楽しいインテリアにすることが可能です。
予算があれば、輸入壁材はデザイン性が高く人気です。玄関からリビングに続く壁面に色鮮やかな色彩のクロスを貼ることで、イメージアップにつながります。国産壁紙より施工が難しかったり、追加したいときに国内在庫がないこともあり事前に確認をしておくことをお勧めします。
5.効果的な動線が面白さを生む
玄関ドアを開けてインパクトを与えるという意味では、事例のように斜めに間仕切りをつくるのも物件の面白さにつながります。狭い面積で効果的に斜めの動線を設けることにより、デザイン性が高くなるだけでなく、使い勝手もよくなりました。玄関から廊下・キッチンへのアプローチの演出効果で、リビングがどう展開するのか期待感を高めています。天井との間に隙間を開けることで開放的になり、光と風が通り抜けるような空間となりました。壁面のクロス柄と色の組合せで、ミッドセンチュリーなインテリアスタイルを演出しています。
予算があれば、壁面に下地補強材を施工するのも一つの方法です。入居者の趣味のサーフボード・サーフジャケット・自転車・釣り道具などを丈夫なフックで収納すれば、ディスプレイにもなります。いつも好きなものに囲まれ、眺めながら暮らし、心豊かな気分に浸ることでしょう。
入居者目線でコンセプトのあるデザインリフォームをすれば、入居者が長く住んでいたいと思ってくれる物件が完成し、入居者は愛着を持って長く住んでくれるようになります。単にキレイにするリフォームより、コンセプトを持って、入居者の目線でリフォームすれば、魅力的な空間が完成するでしょう。
安東 薫 プロフィール
2級建築士/百貨店建装部を経てフリーのインテリアデザイナーとして住宅を中心に多岐に渡り携わっております。センシティーブかつ雰囲気のあるデザインを心がけております。私自身、オーナーとして老朽化した集合住宅で建て替えプロジェクトが進行中です。