テナントリテンションの発想を!~長く住んでもらうための工夫 「安心して暮らせる賃貸~健康・安全~」~後篇
IC21のKobayashiです。
季節の変わり目のころ。
晴れていたのに急に雨。
換気を…と窓を開けておくと、落ち着かない季節です。
これも新しい生活様式「あるある」ですね!
さて、今回も賃貸物件のリフォームのシリーズのご紹介です。(by:IC21一瀬のぞみ)
賃貸の物件に長く住んでもらえるには、どうしたらいいか…について
入居者が健康的に、そして室内で安全に過ごせるという観点から“安心”を考えるシリーズ。
前編では「健康建材」についてご紹介しました。
今回はバリアフリー&間取についてです。
高齢者や身障者が暮らしやすい安全な建物や状態という認識もあると思いますが、中でも具体的に、段差などの解消や、段差事故防止のための措置を示すのが本来の用語の意味とのこと。
専有部内でいえば、玄関からの上り口の段差、水廻りの排水勾配のための段差、廊下から居室に入る際の段差、和室入口など引戸敷居の小さな“つまずき段差”、居室からバルコニー等に出る際の掃出し窓下の段差など・・・特に築年数の経った建物には多くの段差があります。
もちろんすべての段差部分に手摺があれば安心ですが、それらが主張してしまえば見た目にも広さ的にも“目障り”と思う人もいるでしょう。
玄関入口の段差は、実は靴を脱ぎ履きするのに腰掛けたい人にとっては高い方がラクだったりするものです。
スペースがあれば、元々の高い段差の間にもう一つステップを設けてもよいと思います。
また、花台と格子を作り付けてベンチと手摺の代わりにしたり、さりげなくデザインに溶け込ませられるとよいですね。
廊下からLDKに入った時にある大きな段差は危険。
逆に入って半間分ぐらいは床を上げたままにして、下がる所がわかりにくいようでしたら、フローリングの目の向きを変えたり、そのそばに足元灯があたるように工夫をしましょう。
小さな段差には「への字型の見切材」を補います。フローリングや敷居の色味に合わせられるものが増えていますので試してみましょう。
広い玄関土間を確保
ここでインテリアコーディネーターとしての提案間取り「玄関土間を広くする」紹介です。今や、玄関土間は多目的スペースとなりつつあります。
若者は、大事なロードバイクなどの自転車を室内に置くことができ、盗難防止兼インテリアとして飾れるメリットになりますし、家族が増えれば自分たちで置き型の下足入を足すことができます。小さなお子様用には、ベビーカー置場や三輪車置場に。
高齢者にとっては先述のステップやベンチ造作、車いすや買物キャリーなどを置くスペースにもなります。そして水廻りが近くであれば、手洗いボウルを一つ。自転車やアウトドアグッズのメンテナンスをした時の手洗い場となったり、家に帰ってすぐ手洗いをする子供の習慣づけになったり、ペットOKの物件であれば、お散歩帰りに足を拭いてあげたりも簡単。
土間の広い家は今流行りのスタイルに見えますが、もし、居室空間に少し余裕があるのであれば無理な1部屋ではなく、思い切って広い土間+納戸に改装してみてはいかがでしょう。
内覧時に、そのインパクトと実際に入りやすい玄関が好感度を上げ、他物件との差別化に繋がります。そして体に、暮らしに優しい物件として、家族形態が変わっても長くアレンジしながら住んでもらえる“我が家”になるのではないでしょうか?
筆者:IC21 一瀬 のぞみ プロフィール:
インテリアコーディネーター/マンションリフォームマネージャー
インテリアコンサルタント事務所、中古再生不動産会社のインテリアプランナーを経て、現在はフリーランスのインテリアコーディネーター。個人住宅・共同住宅のリノベーションを中心に、モデルルーム等のプラン提案を行っています。