完成時のチェックポイント②Vol32
こんにちは。IC21です。今回は前回に引き続き リフォーム完成時のチェックポイントについて ご紹介していきたいと思います。
部位別検査項目
外部 外壁
仕上材によって異なりますが、タイル、サイディングの場合は、デコボコがないか、目地やシールはきちんと入っているか、出隅や入隅の処理は適切か、などです。出隅、入隅の処埋かきちんとされていないと雨漏りの原因になり、建物の耐久性に影響が出ます。吹き付けや左官の場合も同様ですが、出隅、入隅以外にもひびや浮き、塗り忘れがないかチェックしましょう。
外壁の色は、小さいサンプルで選ぶことが多いようですが、面積が大きくなるとサンプルの印象よりも明るい色に見えます。事前にそういったアドバイスを施主にしておく必要がありますが、「こんな色だった?」と言われることも多々ありますので、選んだサンプルを用意しておくといいでしょう。
照明
必要な明るさが取れているか、防犯上問題がないか、などの観点でチェックするといいでしょう。そのためには暗くなってからのチェックも必要です。
賃貸住宅を商品と考えれば商品の顔が玄関ですから、暗くならないよう、センサーやタイマーを組み合わせて共用部分の点滅システムで無駄なく明るさを確保しましょう。
その他、銘板等のサインは見やすいか、自伝車置き場までのアプローチは暗くないかも確認しましょう。
内装
フローリング、長尺シートは凹凸や足の裏に感じる段差がないか、隙間や剥がれ、浮きはないか、床鳴りはないか、ひどい傷はないか、床のワックスはムラなく塗られているか、塗り忘れ箇所はないかなどをチェックしましょう。床の検査は、靴下のままで部屋の隅々までまんべんなく踏みしめるようにして歩いてみましょう。
タイルの場合は、目地がきれいに詰めてあるか、寸法合わせのために切ったタイルは切り口が危なくないか、カーペットは、カーペットグリッパーの釘が足の裏に刺さる心配はないか、確認しましょう。
壁・天井は波打っていないか、クロスの剥がれ、浮き、目に余る隙間はないか。塗装の場合、ムラ、ひび、はみ出しはないか、巾木のつけ忘れはないかなどでしょう。
建具・収納
扉や引き出しなどの動くものはすべて動かしてみましょう。 スムーズに動くか、歪み、反り、きしみ、ガタツキはないか、きちんと締まるか、ハンドルは、動きが固くないか、壁にぶつからないか。必要な場所に戸当たりはついているか。把手やツマミはしっかりついているか、扉裏にボルトが長く突き出していないか。玄関やトイレなど、錠のあるところは、かかりが悪くないかも確認しましょう。
設備
設備は、最もクレームの起きやすい所ですので、施工不良や機器の不備などは、検査段階で発見しておかなければなりません。
入居後にクレームが発生すると急いで対応する必要があるため、試運転は必ずしてみましょう。また、保証書や取扱説明書、リモコンの類が揃っているかも確認しましょう。
完成後のクレームを減らすために
クレームが起きてから対応するのと、起きることを想定して事前に準備しておくことの違いは大変大きいものです。クレーム時の対応の仕方ひとつで、信頼を得たり、失ったりします。クレームをゼロにすることはなかなか難しいため、当然起きるものとして対応方法を予め考えておくことによって、いざというときに迅速な対応も可能になります。 クレーム対応を大切な仕事の一部と考えておくべきでしょう。
完成時に、あらゆる部分の写真を撮っておくことをお勧めします。入居者からのクレームの発生時に、最初からこうだった、と言われたときの対抗策になります。特に退去時のトラブルを避けるためにもぜひお勧めします。
入居者用に、取扱説明書や緊急連絡先などをひとつのファイルにしてわかりやすい場所に置いておくと、入居者も肋かりますし、「行き届いている」という好印象にもつながります。
何よりも、わからないから、といっていちいち連絡してくることも避けられます。
着工後の追加・変更がある場合
リフォームの場合は、壊してみたら予想外のことが発生する可能性がありますので、追加や変更が生じた時に、後々トラブルにならないように気をつける必要があります。
よくあるのは、言った、言わないで揉めることと、金額の問題です。現場の作業員ではなく、直接お金のやり取りをする窓口の担当者に言って、その都度見積りを取り、やるかやらないかを決めて指示しましょう。
また、施工途中での追加や変更は、思いのほか高くつきます。同じ材料を二度運搬しなければならない、また、でき上がっている部分を壊して作り直すなど、経費も時間もかかるものです。複数の業種が関わっている場合には、例えばちょっとしたコンセント移設でも、電気・大工・クロスの3業種が関わっているため、思いのほか高くつきます。
つい、現場の作業員に、「こっちもついでに、」と頼み、ついでだからお金はかからないと思っていたら、後で請求書を見てびっくり、などといったことも珍しくはないのです。やってしまった後で、高いからやっぱりいらない、というわけにはいきません。追加変更は必要最低限にとどめることが望ましいでしょう。
言った、言わないのトラブルから、感情的なもつれに発展することは避けたいものです。引渡し後もメンテナンスなどで付き合いは続くわけですから、日頃からのコミュニケーションが重要になってきます。
このように、完成後のチエックを経て、建物は賃貸住宅事業物件として稼働していきます。
賃貸住宅需要がモザイク化している時代では、こうすれば必ず成約に結びつくといったものがありません。
住まい方が多様化してきているからです。
だからこそ、住まい方を固定してしまう持家でなく賃貸住宅なのだという考えもあります。
時代の変化に速やかに対応するには、構造駆体は100年を見越して建築し、内装や設備は柔軟にリフォームできるように計画をしておくというのが、時代を勝ち抜いて生き残れる賃貸住宅のあり万なのです。