読めばわかる!デザインリフォームの見せテクとプロの常識「キッチン」②
キッチン全体のプランにも好みの変化が
キッチン本体を取り替えるとなると、現状の位置を変えずに交換を行う方法もありますが、費用が発生するその機会に、壁や天井、床の張り替えとあわせて、LDKの間取りまで変更し、物件全体をよみがえらせてしまうという手もあります。“リノベーション”と呼ばれる最近の考え方です。
LDとの関係の中で、キッチンは今どのようなかたちが望まれているのでしょうか。従来は、廊下を兼ねたI型やキッチンが独立したプランが多くみられました。最近では、ワンルーム・一人暮らしであっても対面型キッチンやカウンター型キッチンが人気です。対面型でも、適度な高さまで造作壁を設けて手元が隠れるようにすれば、キッチンの様子がまる見えになることはありません。カウンター型は、簡単な食事が摂れるテーブル代わりにもなるようなタイプを選べば、限られた空間を有効活用できるといったメリットもあります。
キッチンのプランニングにはいくつかポイントがあります。コンロ・シンク・冷蔵庫を結ぶ「ワークトライアングル」を作業・配膳などの動線を考えて効率よく配置し、3辺の合計が360~660mmに納まるようにすると動きやすいキッチンになります。作業台と壁の間の人が通るスペースは、900mm前後は必要です。これらを限られた面積の中にうまく納めるようにプランニングをすることが大切です。
また、忘れてはならないのが収納です。入居者が料理をするということは、ある程度の数の調理器具や食器、食材のストック、レシピ本などを持っていることを意味します。キッチンに収納スペースをしっかり確保すれば、それはとても大きな魅力となるでしょう。
コストを抑えながら今風デザインのキッチンに
デザイン面に着目すると、キッチンにも今の時代に合わせたちょっとした見た目のおしゃれさ、楽しい雰囲気があることが重要です。その違いが人気を大きく左右します。
古さがさほど目立たない状態であれば、塩ビシートを貼ってカラーや質感を変えたり、汚れが目立つ作業台前のパネルや取手だけをデザイン性の高いものに取り替えるなど、低コストで簡単に今風に見せる方法があります。また最近は、だまし絵のような柄の輸入壁紙が豊富にあり、レンガや古材など、本物と見紛うほどの雰囲気を手軽に演出できます。面白い形のタイルやカラフルなタイルをミックスして張るのも人気で、アクセントとして部分使いするのがオススメです。デザインを施すと、入居者も「きれいに使いたい」という意識が高まるようですので、賃貸だからこその思い切った遊びも取り入れてみましょう。
リフォーム工事の際には、少しだけ予算をプラスして、デザインにも工夫をこらし、入居の決め手となるような魅力的なキッチンに変えてみてはいかがでしょうか。
<執筆者プロフィール>
千葉 まどか
インテリアコーディネーター。広告代理店を経てインテリア業界へ転身。個人宅を中心に海外のテイストを取り入れたインテリアコーディネートを手がける。