「読めばわかる! デザインリフォームの見せテクとプロの常識」「洗面室」①
まだまだ寒い日が続いておりますが、皆さまお変わりありませんか?先週のテーマお風呂に続き、今週は洗面室のお話です。
「読めばわかる! デザインリフォームの見せテクとプロの常識」
「洗面室」①
現代の人は、様々な商業施設やホテルなどで、洗練された洗面空間を目にしています。また、一般住宅でも家具の延長のような高級感ある洗面台のあるお宅が増えました。実は分譲住宅との差が一番出やすいのが、洗面室なのです。オーナーが標準的仕様だと思っているものが、借り手の目には安っぽいと映っているかもしれません。水アカや黄ばみなどで古さが目立つ箇所でもあるので、入退去時のメンテナンスに気を遣いたい場所でもあります。実際入居者が使うときには、洗顔・歯みがき・化粧・髭そりなど多目的に使用するため、小物で溢れ雑多になりがちです。来客者の目につく場所でもあるので、掃除しやすく、片付けやすく、かつオシャレに見えることを望む人が多いでしょう。生活感の出やすい洗面室こそ、ターゲットに合わせたリフォームを施し、来客者に見られても恥ずかしくないパウダールームへとランクアップさせて、成約率を高めましょう。
天板に置くだけで素敵
朝起きてから洗髪をする「朝シャン」という言葉が流行したのは、25年以上前のことです。シャワー水栓も普及しました。しかし、1994年に7割もいた「朝シャン」する人は10年後には3割程度となったそうです。一方、洗面室で化粧をする女性が5割程度に増えたと言われます。独身女性向けワンルームの場合は、機能も求められますが、その空間にいることを楽しめるようなデザインが増えてきています。
棚板に洗面ボウルを置くスタイルはオシャレで人気が高く、また簡単に作ることができるのでオススメです。(写真1)洗面ボウルは3万円前後からありますので、比較的リーズナブルな工事で、雰囲気を一新することができます。棚板に木やウッド系の柄を用いると、無機質になりがちな洗面室にぬくもりが生まれ、大きな魅力となります。また、棚板を下に1枚追加すれば、タオル類や洗剤のストックなどの収納に便利です。女性が朝のメイクにかける時間は年々長くなっているという調査結果もあります。棚板を下に追加する場合、2段目の棚板の奥行きを天板より小さくすれば、座ってメイクをすることもできます。棚板の奥行きは300mmあれば、市販の小物入れなどが置けますので、使い勝手が良いでしょう。
棚板+洗面ボウルのスタイルは限られたスペースでも設置しやすいので、独立した洗面室がない間取りへの追加設置も実現しやすく、おススメです。(写真2)居室から見える場所に設置しても浮かず、アクセントになりオシャレな空間に仕上がります。
洗面ボウルのデザインは豊富です。四角いもの、丸、楕円、鉢形など、イメージや広さに合わせて選ぶことができます。選ぶ時の注意点としては、オーバーフロー付を選びましょう。万が一床に水があふれた場合に下階への影響が出かねません。また、小さすぎるボウルはオシャレに見えますが水が飛び散るなど使いにくいのでオススメしません。配管の移設・新設には制限がありますので、給排水の種類を確認し、施工業者と相談の上、適切な位置に設置しましょう。
分けても使えるシステム洗面化粧台
システム洗面化粧台は、使いやすさ・掃除のしやすさ・収納量を考慮して設計されていますから、機能的に優れた点が多くあります。そのシステム洗面化粧台の多くは、上部のミラーキャビネットと、洗面ボウルを含む下部キャビネットとを分けて使用できます。
部屋の間取りやターゲットの家族構成人数などによっては、洗面台そのものの収納力を重視した方が良い場合もあるでしょう。その場合は下部キャビネットのみを設置し、ミラーは別途デザイン性の高いもの取り付けると洗練された洗面空間に仕上がります。最近の洗面化粧台には、排水管の位置を工夫して従来よりもずいぶん収納量を確保したものがあります。開き扉ではなく引き出しタイプのキャビネットは奥の物を取り出しやすく、人気があります。
棚板に洗面ボウルを置くシンプルなスタイルにした場合は、逆にミラーキャビネットで収納を設けるといいでしょう。既製のミラーキャビネットもデザインが豊富にありますので、インテリアに合わせて選びましょう。例えば丸型のキャビネットとガラスの棚板など組み合わせて、面白みのあるモダンな演出ができます。(写真3)ただし、商品によっては収納部分が壁に埋め込みになっている場合があり、壁を新設しないリフォームでは取り付けが難しい場合もありますので注意が必要です。
ミラーを選ぶ際は、そのサイズと取付け位置には注意してください。家族向け住宅では、身長に差がありますので皆の顔が映るよう縦に長さのあるものを取付けましょう。単身向けでは小型なものでも構いませんが、整髪時のことを考えて、肩下から頭の上までが映るように考慮してください。
男性の電動シェーバーはもちろんのこと、最近では、電動歯ブラシや美顔器など、充電の必要がある家電を使う人も増えています。ミラーキャビネット内にコンセントが付いている場合もありますが、そうでない場合は、コンセントを使いやすい位置に、多めに付けましょう。